対象は介護度3以上で、待機者大幅減!特養の現状
今まで特別養護老人ホームの入所基準は、要介護1~5の間となっていましたが、現在の対象は要介護3以上と規定されました。
要介護3以上になった理由や、これによって何が変わってくるのでしょうか?
■いつから要介護3以上になったの?
今まで特別養護老人ホームの入所条件は要介護1~5に認定された時点で入所可能でしたが、平成27年4月1日から介護保険制度の改定によって、特別養護老人ホームの入所基準が要介護3以上の65歳以上の方に限定されることになりました。
また感染症などの医療的な処置を必要としない方が入所条件となります。
これによって、今まで入所できたはずの要介護1~2の方の入所ができなくなりましたが、特例であれば入所が可能です。
その特例は、要介護1~2で認知症を患い、日常生活に支障があるような症状が頻繁にみられる場合、知的障害や精神疾患を伴って、日常生活に支障をきたす症状が頻繁にみられる場合、深刻な虐待の疑いや単身世帯等の支援が期待できず、地域の介護サービスを十分に受けることができない場合となります。
■入所基準を変えたことで変わったことは?
入所基準を要介護3以上に引きあげたことで変わったことは、入所できずに待機状態となった人数が、前年までは約52万人程度と発表されていましたが、新制度によって制限を設けたところ、待機人数が約36万人に減少したと発表されています。
これによって、特別養護老人ホームはより介護が必要な高齢者のための施設に限定されることになりました。
また、現在特別養護老人ホームの施設自体が不足している状態であることも、この引上げの原因といわれています。
■特別養護老人ホームに入所者が殺到する理由は?
老人施設には、様々なタイプがありますが、なぜ特別養護老人ホームにはこれだけの人数が待っている程人気なのでしょうか?
それは特別養護老人ホームが、老人施設の中で最も費用がかからないことや最後まで穏やかに暮らすことができる空間であるからです。
いくつかの老人福祉施設と比べたときに、特別養護老人ホームなら8~13万円程度で入所できますが、介護老人保健施設は最高でも13万、介護療養型医療施設は最高でも18万円程度の費用が必要になってきます。
さらに有料老人ホームともなれば、毎月13万程度の費用に比べて入所一時金として数百万円などの費用が必要になってきます。
比べてみると金額の違いは一目瞭然となり、年金生活だけの高齢者ともなれば特別養護老人ホームに入りたいと思うのは当たり前なのです。
なので、入所者が殺到してしまった結果、これだけの待機人数になってしまうという結果を招いてしまいました。
また、今後は特別養護老人ホームでなく在宅介護を増やしていく方針だともいわれているので、ますます入所条件が付く可能性があります。