なんですぐに忘れてしまうの?認知症のメカニズム
高齢社会により認知症を患う高齢者も増えています。
そのため、特別養護老人ホームや有料老人ホームでは認知症患者の受け入れが増えており、さらに軽度の認知症患者の受け入れに特化したグループホームも存在しています。認知症ではなぜ物忘れをしてしまうのでしょうか。
今回は認知症のメカニズムについてご紹介します。
■認知症による物忘れのメカニズム
人の記憶は脳内細胞同士が情報を共有することで、記憶を思い出したり、新しい記憶を覚えたりします。
通常の物忘れであれば、情報共有のミスから起こってしまうことなので、情報共有を繰り返し行えばミスを減らすことが可能です。
ところが、認知症は脳内細胞の変性や死滅により、やりとりする手段がなくなってしまうため物忘れが増え、新しいことも記憶できなくなってしまいます。
認知症にも様々な種類がありますが、例えばアルツハイマー型認知症の場合は「海馬」という記憶を司る脳内細胞が減ってしまうことで、脳が委縮して新しい情報を記憶できないのです。なぜ脳が委縮してしまうかというと、病的なたんぱく質であるアミロイドβという老廃物が海馬に沈着してしまうためと考えられています。
また、脳梗塞や脳出血など脳内血管に障害があった場合も神経細胞が壊れて認知症になってしまうこともあるのです。
脳血管性認知症の場合は高血圧や動脈硬化など生活習慣病が大きく関わっているので、注意が必要となります。
■全てのことを忘れるわけではない
認知症は新しいことが覚えられない、昔の記憶ばかり蘇るなどのイメージがあります。
しかし、認知症の場合は記憶が欠けてしまっても、感情として残していることも多いです。
なので、老人ホームでの楽しい生活、嫌な出来事、嫌なことを言われたなど感情として残っていることも珍しくありません。
面会時に特定のスタッフや入居者に対して嫌がる素振りがあれば、感情として記憶が残っている可能性もあります。
■老人ホームで認知症の改善や記憶力の維持
老人ホームなどの介護施設では認知症の進行を防ぐため、レクリエーションやトレーニングを行っています。
認知症のトレーニングは認知症でない人も予防の効果に期待できるのです。
また、認知症は生活習慣病やストレスからも起きやすいため、老人ホームでは認知症の予防のために生活習慣病予防に配慮した食事や、快適に生活できる空間や相談の提供など工夫しています。
認知症の予防や改善は人とのコミュニケーションも重要であり、同年代の高齢者が集まる老人ホームは楽しく会話や交流ができる最適な場所とも言えるでしょう。
このように、認知症の人が物忘れをしてしまうのは、脳内細胞の変性や死滅で脳が委縮したことで起きてしまいます。
認知症の人は老人ホームに入れないというと思う人もいますが、受け入れに対応している老人ホームや介護施設はたくさんあります。
老人ホームでは認知症改善や予防に有効な生活やトレーニングも行っているので、安心して入居させることができるでしょう。