『ユマニチュードってなに?』知りたい!老人ホーム豆知識
老人ホームや自宅での介護においてユマニチュードが注目されています。
ユマニチュードは、認知症の方に効果的な方法としてフランスで発祥したケア技法のことです。
基本的な技術を4つの柱として考え、ケアは5つのステップで構成しているものです。
ここではユマニチュードについて紹介していきます。
■ユマニチュードって何?
ユマニチュードは、1979年にフランスで誕生した認知症ケア技法の1つです。
フランス語の造語であり、「ユマニチュード(Humanitude)」には人間らしさや人間らしさを取り戻すという意味が込められています。
体育学の観点から介護の見直しを行い、介護される側が能力を引き出せるようにしたものです。
そして、あなたを大切に思っている気持ちを言葉やコミュニケーションで伝えることを重視し、介護される側の人間らしさを重視しています。
■ユマニチュード「4つの柱」
ユマニチュードは、老人ホームでの介護や生活にも活用されているものです。
その根幹には、4つの柱が存在します。
この4つの柱とは、「見る」「触れる」「話す」「立つ」です。
この考えには「マルチモーダル・ケア」という考え方に沿ったもので、複数のコミュニケーションを組み合わせるのが重要とされています。
・見る
見る時は、同じ目の高さで正面、もしくは近くで見ます。
親しみや平等というメッセージが込められ、老人ホームでも意識されている方法です。
・触れる
体に触れる際には不意に掴まず、広い面積でゆっくり手を動かして背中や肩など鈍感な部分に触れます。
認知症で老人ホームに入居している人の場合、この行動がきっかけになる可能性があります。
・話す
声を大きさを気にしながら低めでゆっくり前向きな言葉を使って説明します。
相手が無言であっても言葉をかけ続けることで落ち着き、こちらのメッセージも伝わります。
老人ホームでは介護やケアの最中に実況することも有効です。
・立つ
立つ能力を保つためには、1日20分時間を作ることとされています。
老人ホームでもなるべく自分で立ったり動いたりして少しづつ時間を確保します。
■ユマニチュード5つのステップ
ユマニチュードには、5つのステップがあります。
1つのケアを1つの流れとして実施していくと、信頼関係も築きやすくなります。
特に認知症で老人ホームに入居した場合、混乱することがありますが、このステップにより気持ちの準備も可能です。
1.出会いの準備
自分が来たことを知らせるために合図をします。
受け入れる準備をさせるためにドアをノックして知らせます。
2.ケアの準備
ケア開始前にケアを受け入れるかどうかの準備を合図します。
老人ホームでケアの準備を受け入れてもらえない場合は、一度ケアを中断します。
3.知覚の連結
受け入れてもらえたらケアに入ります。
老人ホームのケアでは、優しく話しながら行動も正しく伝わるようにします。
4.感情の固定
老人ホームでのケアが終わったらポジティブな声掛けを行います。
ケアを受けた時の感情が残りやすいので、思い出してもらえた時には良い関係になります。
5.再開の約束
ケア後にすぐ立ち去るのではなく、また会いに来るという言葉をかけます。
伝言やメモにするのも効果的です。
ユマニチュードは、介護の現場で大きな効果をもたらすものとして知られています。
相手との良好な関係も築きやすいので、積極的に取り入れるとよいでしょう