痛みがわからないことの善し悪し
老人ホームなどの施設では認知症の患者も受け入れています。
認知症の高齢者は新しいことが覚えられないなど記憶障害以外、特に影響がないと感じる人も多いでしょう。
しかし、認知症の人の中には痛みを感じにくい方も多いようです。
痛みを感じないということは、老人ホームの生活で良いことなのでしょうか、それとも悪いことなのでしょうか。
■認知症で痛みが感じないのは本当?
老人ホームなどで生活される認知症の方の中には、転んだ時や物にぶつかった時に痛みを感じにくいことがあります。
痛みの感覚がなくなってしまう理由は明確にされていませんが、大脳の機能低下とされているようです。
例えば、骨を折ってしまって痛みがある場合でも、痛みの感覚が鈍っているので痛いと訴えない人もいます。
そうなると痛みの場所が分からず、治療も困難になってしまうわけです。
痛みを感じないことは嫌な思いをしなくて良い反面、治療や怪我の事態に気付かないデメリットもあるのです。
■寒さや暑さの感覚も変化する
認知症になってしまうと暑い夏場でも厚着になり、真冬には冷房を入れるなど温度に関する感覚も障害が起きやすいです。
これらの行動は特別養護老人ホームや有料老人ホームでもよく見かける光景です。
この行動が適正な処置であれば問題はありませんが、脱水症状のリスクも持ち合わせています。
例えば、真夏に厚着をしたり、毛布をかぶっていたりしても、自然に汗をかいていて脱水症状を起こしてしまう危険があるでしょう。
異常に寒がるのは、認知機能や体温調節機能の低下の可能性があります。
また、厚着でも汗をかいていない場合は、脱水症状が深刻化している可能性もあるのです。
脱水症状は熱中症などにもつながり、高齢者には危険なので、老人ホームではどのような対策がされるのか入居前に確認しましょう。
老人ホームによって認知症の対処は異なるため、認知症の受け入れに特化した老人ホームや、自立した生活が可能であればグループホームへの入居がおすすめです。
このように、認知症の高齢者は痛みの感覚が鈍ってしまう可能性があります。
痛みを感じないことは苦しみがないメリットがありますが、怪我や病気の発見、悪化を見逃してしまう可能性が考えられます。
老人ホームでは認知症の改善や予防に関するトレーニングも行っているので、認知症に特化した老人ホームを選ぶと安心でしょう。
入居前に認知症の高齢者にはどんなケアがされるのか、事前にきちんと確認することが大切です。